専門家コラム 2024年11月14日13:26

砂名のベトナムに乾杯(第47回)甘く見てはいけない、ベトナムで事件に遭遇しないために

6月4日。ホーチミンの日本人街、レタントン周辺のタイバンルン通りで、日本人男性が刺殺される事件が起きました。

砂名のベトナムに乾杯(第47回)甘く見てはいけない、ベトナムで事件に遭遇しないために

昼日中、人通りの多い繁華街で、ハノイからの日本人出張者(36)がナイフで刺されて病院に搬送されるも、出血によるショック死で亡くなったというニュースは、またたく間に拡散され、私もとあるコミュニティーのグループLINEで一報を受け、続いて白いシャツの左胸あたりにべったり血が付いているサラリーマン男性の動画が送られてきました。「被害者はみなさんの知り合いではありませんか」、「犯人は逃走中です、気を付けましょう」という注意喚起の連絡でした。

まもなく容疑者は逮捕、20代のベトナム人男性でした。

日本でもニュースが流れ、現場検証の映像では、容疑者が右手でナイフを逆手に握って、被害者の首を左から右へと横に切る仕草が映っていました。容疑者のベトナム人男性と駐在の日本人男性二人が口論になり、ベトナム人男性が二人を追いかけ回していたという目撃情報に、「カッとなってナイフを振り回しているうち運悪く致命傷を負わせてしまったのでは?」と推測する日本人の方もいらしたのですが。現場検証の映像を観ている限りでは、相手に間合いを悟らせず、力が入りやすい逆手にナイフを持ち、首を狙っているあたりに、強い殺意を感じます。

犯行の動機について、噂では二転三転していましたが、ニュースによると、ベトナム人男性の容疑者は、以前働いていた会社の日本人に何度も叱責されたことに対して強い恨みを抱き、その元上司に似た日本人を刺したということでした。「(恨みを抱いた本人ではなく)日本人だったら誰でも良かった」という供述に、ホーチミン在住の駐在員たちは、改めてこの事件の恐ろしさについて考えさせられたことと思います。なお供述には矛盾点があり、引き続き捜査は行われているとのことです。

ベトナムの人たちはたいへんプライドが高く、人前で叱る、侮辱するなどの行為は慎むようにと言われています。そしてタクシー運転手の中にはナイフを持っている者もいるので気を付けるように言われたことがありました。今回、憶測段階で容疑者と思われていた「靴みがき」の人たちも、ナイフを隠し持っている可能性があるということを、今回の事件を機に初めて知りました。観光客や出張者が多いエリアには、あちらこちらに「靴みがき」の人たちがいて、革靴でなくスニーカーやサンダルでも強引に磨こうとし、断っても執拗について来て営業を仕掛けてくる人がたまにいます。邪険に追い払ったり、高圧的な態度で暴言を吐いたりしないように気を付けましょう。

そしてその翌週6月11日に、またレタントン近辺で、今度は韓国人男性がベトナム人に刺される事件が発生しました。

最近、レタントン界隈では、ぼったくりや暴行などの犯罪が続いていましたが、ついに殺人事件まで起きてしまいました。比較的安全だと言われているベトナムで、わずか一週間に二件も刃傷沙汰が発生し、とても残念です。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。

日系企業の中には、レタントン界隈に行くこと自体を禁止した会社もあると聞いています。

※本稿は6/18 時点で執筆したものです。

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