みなさまこんにちは。ボーケン品質評価機構ホーチミン試験センターです。今回も検査機関の視点でみなさまの生活に役立つ情報をお伝えしてまいります。

みなさまが普段何気なく着用している衣料品ですが、どのような繊維でできているか意識したことありますか? それを衣料品購入時の判断ポイントとしていますか? 今回は衣料品によく使用される繊維の種類と特性をご紹介します。製品購入の際の決め手になりますので、是非ご確認ください。
繊維は天然繊維と化学繊維の2つに大別されます。天然繊維は自然界の動植物より採取される繊維で、植物性の繊維は綿と麻、動物性の繊維は毛と絹、この4種類が代表的な天然繊維と呼ばれます。これに対し化学繊維とは、天然繊維と同様のものを人工的に作り出すべく、原料を化学的に処理し繊維にしたものです。合成繊維、半合成繊維、再生繊維の3種類を総じて化学繊維と呼びます。
今回は天然繊維の4種類について詳しくご紹介します。
綿:天然繊維において最大の消費量があり、衣料品でも最も多く使用されています。特性としては、肌触りが良い、涼しい、保温性が高い、吸水性が高い、熱に強い、汚れが付きにくい、染色性が高い、各種化学加工ができるなど、様々な長所が挙げられます。一方で、シワになりやすい、水分により縮みやすい、日焼けにより変色・脆化しやすい、かびに侵されやすいなどの欠点もありますが、これらは化学加工により改善できるものもあります。
麻:亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、黄麻(ジュート)、大麻(ヘンプ)、マニラ麻、サイザル麻など20種ほどが存在しますが、日本語でいう「麻」はそれらの総称的に用いられています。衣料品には亜麻(あま)と苧麻(ちょま)がよく用いられています。麻繊維共通の特性としては、強力がある、光沢がある、涼感がある、汚れが付きにくく落ちやすいなどがあり、これらの長所から春夏物の素材としてよく用いられます。
毛:動物の体毛(獣毛)を用いた繊維です。羊の毛を用いた羊毛/ウール、アンゴラ山羊の毛であるモヘヤ、カシミヤ山羊の毛であるカシミヤ、らくだの毛であるキャメルや、アルパカ、兎の毛であるアンゴラなどがあります。人間の皮膚や髪と同様、蛋白質からできており、その特性は、弾力性に優れ、湿気を吸収し、水をはじき、防シワ性、形態安定性に優れ、染色性に優れています。欠点としてはフェルト化という現象が起こりやすいことです。水中で力が加わると繊維がお互いに絡み合うことで、フェルト生地のようにギシギシと縮み固まってしまいます。毛製品が家庭洗濯に向いておらず、ドライクリーニングする必要があるのはこのためです。
絹:蚕が幼虫から蛹に変わる際に作り出す繭糸が原料である繊維です。天然繊維の中で最も細く、柔らかさと繊細な外観を生み出しています。また糸の断面が不定形であり太さも単調では無いため、光沢や感触の良さもあります。短所としては日焼けにより黄変すること、シワになりやすいこと、摩擦に対して弱いこと、水洗いで変色や色落ちしやすいことが挙げられ、デリケートな繊維であるといえます。
なお、ベトナムの民族衣装であるアオザイは、綿、絹、ポリエステルなどの素材が用いられています。綿は通気性と吸湿性に優れているためベトナムの暑い気候に適しています。絹は光沢と滑らかさによって、高級感と上品な印象をもたらします。ポリエステルは近代のアオザイの普及に大きく貢献した素材で、丈夫でシワになりにくいため取扱いやすいのが特徴です。暑い気候で着用する場合は綿、上品な印象を求めるなら絹、普段使いに手頃なアオザイを選ぶならポリエステル、といった具合で、アオザイの素材は着用する人の好みやシーンによって選ぶことができます。
このように、繊維が持つ特性を知り、衣料品を購入する際の判断ポイントにしてみてくださいね! 次回は化学繊維についてご紹介します。
文/八木康宣(やぎ やすのぶ) ホーチミン駐在。ベトナム滞在歴述べ8年。BOKEN海外事業本部アジア統括責任者として韓国、台湾、ベトナム、タイ、ジャカルタ、広州、杭州市を統括。海外拠点は上海、高島、染州を含め全10拠点。
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