専門家コラム 2024年01月01日11:56

砂名のベトナムに乾杯(第44回)3年9か月ぶりの一時帰国に思うこと

9月に、3年と9か月ぶりに一時帰国しました。すっかり浦島太郎状態で、帰り方を忘れてしまい、「コロナ後、いろいろと変更になっていることがあるので注意が必要」と、YouTubeで呼びかけていたので、念のため関空から奈良までのリムジンバスの時刻表を調べたところ。

砂名のベトナムに乾杯(第44回)3年9か月ぶりの一時帰国に思うこと

なんと時間変更どころか、2021年1月からずっと、奈良への全面運休中でした。自宅への帰りは荷物が少ないためまだ良いとして、ベトナムへの戻り、合計40キロ超えの二個のスーツケースを持って、朝のラッシュ時に近鉄電車を乗り継ぎ、上本町からリムジンバスに乗って、10:30のフライトに間に合うのは至難の業です。そこで初のりんくうタウンでの前泊を経験しました。これまで朝の便に間に合わないという遠方の方たちのお話を他人事のように聞いていたのですが、今は我が身、ですね。

またタクシーは電話で呼んでも来てくれないようになっていて、配車アプリを使うようになっていました。病院などタクシー利用が必要で、スマートフォンを使いこなせないお年寄りはどうすれば良いのでしょうか? またホーチミンでは若いドライバーさんが多く、何も言わなくても荷物をひょいとトランクに入れてくれますが。奈良は60歳超えのドライバーさんが多く、私も手伝わないとお気の毒な感じです。

観光客がかなり戻って来ており、奈良市内の繁華街をお昼時に通り過ぎると、あちらこちらの飲食店前で行列ができています。そういえばコロナ禍で、近畿で唯一「緊急事態宣言」を出さなかった奈良県は、周辺の府県から「奈良に行けば飲める♪」とばかりに人が押し寄せ、どの飲食店さんも異様な長蛇の列だったそうです。それで感染者数が増えたかと言うとそうではなかったため、あの「緊急事態宣言」は一体なんだったんだろう、と飲食店関係の方とも話しておりました。

インバウンドが戻ってきたとは言っても供給側の人手不足が深刻なのか。あちらこちらの飲食店さんでオペレーションが回っていなくて、それこそ「ベトナムあるある」状態でした。また人手不足解消のために導入したメニューのQRコード化も、年配の女性たちには不人気で「あんた、こんなん私らには出来ひんわ。ここで注文、取ってちょーだい!(怒)」。そしてQRで読み込んだ最初のページが「Sold Out」のオンパレード。その一方で、相変わらずクレジットカードなどの電子決済が進んでいません。

奈良酒を取り揃えている飲食店さんでは「『風の森』の……」と注文しかけると、「番号で言ってください!」。思わず、どこの国の人かと顔をまじまじ。胸には日本名のネームプレート。当店の2倍以上の銘柄数ですので仕方ないのでしょうが。ベトナム人を雇っている当店では決して番号を振りません。日本語を好きで習っているとは言え、日常的に使わない「仙禽」「作」「鳳凰美田」などの銘柄名を、正しく読むのは決して楽なことではないでしょう。それが今では伝票に「獺祭」と漢字で書いています。

その一方で、コンビニのお惣菜などの商品群の多さと充実さには目を見張るものがありました。

コロナが終わって、進んだところ、廃れたところ、ちぐはぐしているところが目に付いた一時帰国でした。

文/月森砂名(つきもりさな )

奈良県出身。 同志社大学卒業。 2015年、ベトナ ム初の角打ち 【日本酒で乾杯!】 に続き、2020年、 Pham Viet Chanh にて日本酒専門の「角打ちのあ る酒屋」 【蔵 KURA】 をオープン。 経営に携わる。 東京で舞台撮影や制作の仕事をする傍ら、 作家活 動を行う。 2009年よりNPO法人 Layer Box にて、 日本の伝統文化について、 大学、 高校、 専門学 校とともに、PV、3D、CG などのコンテンツ制作お よび世界発信を行う。

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