専門家コラム 2024年04月02日07:40

製造業のプロが選ぶものづくりの本(第11回)不況を超える企業の秘密は?

困難と変化に満ちた2023年がもう終わりました。この1年間、私は品質管理に関するコンサルティングの過程で多くの企業に会ってきました。多くの企業は共通の困難から逃れることができず、注文数は最大40%減少しました。しかし、依然として前年と同じ収益を維持し、さらに高い成長率を達成している企業も数多くあります。

製造業のプロが選ぶものづくりの本(第11回)不況を超える企業の秘密は?

なぜ企業間にこのような違いがあるのか? 成長する企業を見ていると、すべて企業内部の強みからくる共通点があることに気づきます。このことから、『日本でいちばん大切にしたい会社』というシリーズ本に登場する日本企業を思い出しました。

この本では、著者の坂本光司氏が日本全国を旅し、6,000社以上の中小企業を訪問・調査しました。これらの企業のうち、全体的に不況な経済状況にもかかわらず、業績に影響を与えられない企業が約10%あることがわかりました。さらに、50年以上にわたって売上高利益率が10%を超えている非常に素晴らしい企業もいくつかあります。経済状況を乗り越え、独自の市場を創造する企業たちです。

彼は、これらの企業には次のような共通点があることに気付きました。

まず、経営がうまくいかない際に、これらの企業の経営者は内側に問題があると考え、「景気や政策が悪い」、「業種、業態が悪い」、「規模が小さい」、「ロケーションが悪い」、「大企業、大型店が悪い」という外部環境を言い訳にすることが絶対にありません。

次に、これらの企業の経営者は素晴らしい経営理念と会社の使命がよくわかっています。会社は生まれた瞬間から、経営者やその親族などの一部の人のものではなく、広く社会のものと考えるべきなのです。そして「多くの人を満足させる」ため、尊敬、喜び、幸福を追求し続けます。最近はこの点を理解していない日本企業の経営者が増えています。

本書には「会社は誰のために」と題し、経営者が心すべき「5人」に対する使命と責任について述べ、「本当の経営」と定義しています。その5人とは、次の通りです。

  1. 社員と家族
  2. 下請けや外注企業等の顧客
  3. 顧客
  4. 地域社会や地域住民
  5. 株主

社員やその家族の幸福が第一であり、そのために、経営は業績ではなく、会社を継続させることが重要です。本書が大切にしたい企業とは、日本や業界を牽引するような大企業ではなく、上記の5人に対して使命と責任を遂行し、業績を伸ばしている企業を指します。

そして本書のタイトル通り、「日本でいちばん大切にしたい会社」をそれぞれ紹介しています。第1巻で最初に紹介されているのは、日本理化学工業株式会社というチョークを作っている会社です。50年前から知的障害者を雇用し続けて、成果を上げている会社でした。他に紹介されている会社も含めて、どの会社も企業理念が素晴らしいようです。その結果として、従業員のモチベーションが高く保たれ続けていて、ポジティブ・スパイラルを形成しています。

これらの企業がまた成長し続け、創業100年以上の企業リストに入ると思っています。また、日本でいちばん大切にしたい会社の話を参考にして、もっと発展できる企業も多くあるでしょう。経営者として、絶対に読んだ方が良いと思います。

文/ブイ・リン

名古屋工業大学大学院卒業後、 (株)パロマに入社。生産ラインの改善、 生産ラインの立ち上げ ・ 管理、 品質管理等のさまざまな業務を経験し、 2021年9月、 ベトナムに帰国。 ベトナム製製品の品質向上を目指し、 中小製造業企業向けの 「日本式品質保証システム構築」 コンサルタントとして活動している。

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