製造業ニュース 2023年04月20日16:14

ビンESとリ・サイクルがバッテリー再生に関する長期戦略契約を締結

4月12日、ビンES(VinES Energy Solution)はリ・サイクル(Li-Cycle Holdings Corp.)とバッテリーリサイクルに関する長期戦略契約を締結したと発表した。2024年以降、リ・サイクルはビンESの戦略的パートナーになり、ビンESがベトナムで製造したリチウムイオン電池の再生を行う。

ビンESとリ・サイクルがバッテリー再生に関する長期戦略契約を締結

Li-Cycle社長兼同創業者Ajay Kochhar氏とVinES社長のPhạm Thùy Linh氏

ベトナムでは、経済発展に伴うリチウム電池メーカーの数が増える一方で、リチウムイオン電池の再生に関する需要も高まっている。そのことから、リ・サイクルはビンESのベトナム・ハティン省にある製造工場の近くに専用のバッテリーリサイクル工場を建設する可能性を検討している。再生工場に関する正式な投資決定は2025年に行われる予定だ。これに先立ち、ビンESのリチウムイオン電池の処理はリ・サイクルの北米にある再生工場で行われる。

リ・サイクルは北米におけるリチウムイオン電池再生業界のトップ企業である一方、ビンESはベトナムにおいて電気自動車やエネルギー貯蔵システム等向けの高品質なリチウムイオン電池を製造する唯一のメーカーだ。本契約はビンESのバッテリー再生需要に対応するだけでなく、リ・サイクルの再生能力を向上させる戦略の一環ともなる。

ビンESのCEOであるファム・トゥイ・リン氏は、「バッテリー製造過程で生じるスクラップや使用済バッテリーを世界のモビリティ業界やエネルギー貯蔵業界に再生・還元することで、持続可能なサプライチェーンの構築と環境への影響を抑えることの両立ができる。今回締結した戦略的パートナーシップは、地球全体のために持続可能な将来を創造するという両社の使命の実現を加速させるだろう」と語る。

リ・サイクルの共同創設者兼エグゼクティブ・チェアマンであるティム・ジョンストン氏は次のように述べている。

「我々はビンESのベトナムで製造したバッテリー及びバッテリー材料再生の戦略的なパートナーになることを喜ばしく思う。本提携は弊社の持続可能かつ緊密なバッテリーサプライチェーンを構築する目標の一助となる。さらに、信頼できる再生業者としてリ・サイクルの世界市場での地位を強化し、今後のパートナーシップ強化や革新的で環境に優しいバッテリー再生技術のグローバルな開発にも貢献する。」

これに先立つ2022年10月、両社は、ベトナム及び東南アジアにおける最初の世界的な電気自動車メーカーであるビンファスト(VinFast)向けの世界的な再生戦略の研究に関する協定関係を初めて公表した。

ビンES及びビンファストはベトナム最大の民間複合企業であるビングループ(Vingroup)の傘下にある。ビンファストは世界一流の自動車メーカーになることを目標に、現在北米及び欧州市場にも事業を拡大している。一方、ビンESはビンファストや他の企業が開発する電気自動車やエネルギー貯蔵システム向けの高品質でハイテクなバッテリーを研究・開発・製造している。同社はベトナム北部ハイフォン市で新しいリチウムイオン電池の製造施設を稼働させたばかりで、今後もベトナムでの生産能力の拡大を続ける。

2022年12月初旬、アジア市場との連携強化および事業関係の構築・拡大を狙い、リ・サイクルはシンガポールにオフィスを開設した。リ・サイクルのアジア太平洋地域のリージョナルプレジデントであるダウェイ・リ氏は、「シンガポールのオフィスはアジアにおける重要なハブとなる。また、ビンESの再生需要に対応しつつ、この重要な市場での関係強化を期待している」と述べた。

VnEconomy / Translator: Thùy Trang / Proofreader: Aiko Mihara
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