2006年にベトナムへ進出して以来、Hyundai Aluminum Vinaは、ビレット鋳造、金型製作、押出、表面処理からCNC加工、完成品の組立までを一貫して手掛ける生産体制を構築してきました。フンイエン、タイグエン、ビンズオンに拠点を置き、約3,000人の従業員を擁する同社は、EMIDASものづくり商談会(FBCアセアン)2026に初めて出展者として直接参加し、ベトナムおよびアジア市場でのプレゼンス拡大に乗り出します。
Hyundai Aluminum Vinaは、1956年から続く韓国のアルミニウム専門企業グループ、Aluko Groupに属しています。鋳造・押出技術を基盤として、電子部品、自動車、エネルギー、産業材料、建築用アルミニウムなど、高度な技術要件を伴う分野へ段階的に事業を広げてきました。
Hyundai Aluminum Vinaは2006年10月にベトナムで設立されました。早い段階でベトナムを投資先に選んだ背景には、ベトナム人材の能力、機敏さ、仕事への姿勢に対するグループ経営陣の信頼がありました。約20年を経た現在、ベトナムは単なる生産拠点にとどまらず、同社の事業運営と市場開拓計画において、ますます重要な役割を担っています。
ベトナムで約20年をかけて築いた生産基盤
Hyundai Aluminum Vinaの主要拠点は、フンイエン省フォーノイA工業団地の約10ヘクタールの敷地にあります。2015年には、Samsungの複合施設に近いタイグエン省で約30ヘクタール規模のALK Vinaへの追加投資を行い、ビンズオン省でも工場を運営しています。
この拠点網により、同社はベトナム北部・南部の顧客に加え、輸出案件にも対応しています。フンイエン拠点では主にアルミはしご、LCDフレーム、太陽光パネル用フレームを生産し、タイグエン拠点では建築用アルミニウム、自動車部品、モバイル機器部品、金型を手掛けています。
また、グループのベトナム事業では約3,000人が勤務し、部長級以下の管理職の大半をベトナム人が担っています。こうした現地化により、同社は現場の操業条件、顧客ニーズ、国内市場の特性をより的確に把握することに成功しています。
この体制は、Hyundai Aluminum Vinaが営業活動を二つの方向で展開する基盤にもなっています。開発期間が長く、専用投資を必要とする大型案件は通常、グループレベルで管理されます。一方、国内顧客、外資系企業、柔軟な対応が必要な受注については、ベトナムのチームが直接担当します。
One-Stop System:生産工程全体を一元管理
Hyundai Aluminum Vinaの中核的な差別化要素は、同社が「One-Stop System」と呼ぶ一貫生産モデルにあります。

ビレットを購入して一部工程だけを行うのではなく、アルミニウム原料の受け入れからビレット鋳造、金型の設計・製作、押出、アルマイト処理または粉体塗装、CNC加工、組立、製品仕上げまでを一つのシステム内で行います。
このモデルにより、まず生産工程の上流から品質を管理できます。ビレットが安定していなければ、後工程を適切に行っても最終品質の確保は困難です。鋳造工程を内製化することで、材料組成、硬度、安定性、加工性をより確実に管理できます。
金型の内製能力も、もう一つの重要な要素です。工場のエンジニアが金型を直接設計、検査、調整、修理できます。押出後に形状不良や寸法偏差が発生した場合も、各部門がその場で連携して原因を特定し、外部サプライヤーを待つことなく対応できます。
特に電子機器、電気自動車、共同開発製品の案件では、一貫生産体制が機密保持の強化にもつながります。秘密保持契約(NDA)の遵守が求められる場合、図面、材料構成、プロジェクト情報にアクセスする事業者の数を限定できることは、特に重要です。
グループ全体の年間生産能力はビレット鋳造15万5,000トン、押出14万4,000トンです。資料公表時点で、ベトナム拠点はこのうち鋳造10万2,000トン、押出9万トンを占めており、ベトナムがグループの生産能力において大きな比重を担っていることを示しています。
ただし、顧客にとっての価値は規模だけではありません。より重要なのは、原材料から完成品まで一つのシステムでプロジェクトを一貫して進められる点です。これにより、中間サプライヤーへの依存を抑え、問題発生時の対応時間を短縮できます。
電子部品からEV用バッテリーケースまで
電子分野では、同グループは2015年からSamsung GalaxyのS、Note、Aシリーズ向けにアルミニウムフレームを供給しています。加工範囲は素材供給にとどまらず、プレス、CNC加工、表面処理などの工程も含みます。

これらの製品には、薄さ、剛性、精度、高い表面品質を同時に満たすことが求められます。鋳造または押出工程でわずかなばらつきが生じるだけでも、後工程全体に影響する可能性があります。そのため、素材から完成品まで継続的に管理できることが、安定品質を維持するための重要な条件となります。
同グループはSamsungおよびLG向けのテレビフレームも生産しており、OLEDテレビや曲面テレビ向け製品も含まれます。これらの製品には、高い意匠性、複雑な形状、複数の加工工程を経た後の均一な表面品質が求められます。
一部の電子部品には、高純度アルミニウムのろ過技術や独自の合金ソリューションも活用されています。
エネルギー分野では、太陽光パネル用フレームを生産し、米国へ大量に輸出しています。これはものづくり商談会·で紹介予定の製品群の一つでもあります。
電気自動車分野では、電動二輪車と電気自動車の両方に向けて、アルミニウムハウジング、セルカバー、バッテリーケースを開発しています。これらの用途におけるアルミニウムは単なる外装材ではなく、軽量性、耐久性、精度、バッテリーシステムの保護性能に関する要件も満たす必要があります。
合金設計、金型製作、押出、加工、組立を連携させる能力により、Hyundai Aluminum Vinaは製品開発プロセスへより深く関与しています。多くの大型案件では、既存図面に基づく加工だけでなく、初期段階から参画し、量産に適した設計へ調整する作業を顧客と共同で行っています。
電子、エネルギー、電気自動車分野に加え、米国向けにOEM方式でアルミはしごも生産しています。この基盤を生かしてAlukoブランドの製品を開発し、B2C事業も段階的に拡大しています。
建築用アルミニウムと難易度の高い案件への対応力
建築用アルミニウムは、Hyundai Aluminum Vinaが長年取り組んできた事業分野の一つです。

製品ポートフォリオには、カーテンウォール、アルミサッシ、アルミ型枠、ルーバーシステム、建築向け各種部材が含まれます。同社は、Landmark 81、Keangnam Hanoi Landmark Tower、Shilla Monogram Hanoi Westlake、Taiwan Taoyuan Airport、Macau Towerなど、ベトナム国内外の多くの大型プロジェクトに参画してきました。なかでもLandmark 81は、厳格な設計基準と品質規定が求められたベトナムを代表するプロジェクトです。Hyundai Aluminum Vinaは、設計力、施工対応力、材料品質を評価され、英国の監理コンサルタントから採用されました。この案件の価値は建物の規模だけにあるのではありません。導入過程で原因の追跡、技術調整、問題への迅速な対応が必要となる場合に、一貫生産体制がもたらす利点を示す事例でもあります。
アルミ型枠分野では、軽量、高剛性で、設置・解体が容易なAL-Formworkシステムを提供しています。このシステムは、工期短縮、人件費の削減、廃棄物の抑制、コンクリート表面の安定性向上に貢献します。
こうした能力は、Hyundai Aluminum Vinaが日本市場へのアプローチを拡大する基盤にもなっています。同社が重点を置く三つの分野は、電子機器向けアルミニウム、サーバー向けアルミニウム部材、建築用アルミニウムです。
小ロット受注にも柔軟に対応
大規模生産は量産時に優位性をもたらす一方、小ロット注文には障壁となる場合があります。Hyundai Aluminum Vinaは、ベトナムの専任営業チームと金型単位の生産方針を通じて、この課題に対応しています。
金型の取り付け・取り外しと機械の段取りにかかる費用は、単価に直接影響します。小ロットまたは発注頻度が不規則な案件では、顧客と生産計画を策定し、1回の稼働ごとに数量をまとめて生産した後、在庫保管または分納に対応できます。
日本の顧客に対しては、ごく少量を何度も発注する代わりに、金型ごとに数量をまとめ、適切なロットで一括生産した後、段階的に納品する方法を提案できます。これにより、機械段取り費と金型関連費が製品価格に与える影響を抑えながら、需要が安定しない顧客にも継続して対応できます。
Hyundai Aluminum Vinaは大手企業だけでなく、ベトナム国内市場にも製品を供給しています。ベトナムのチームは、家庭用品・産業用品の小ロット注文を含め、国内の代理店および顧客60社以上を担当しています。
グループが管理する大型プロジェクトと、ベトナムチームが担う柔軟な受注という二つの顧客層に対応できることは、既存の大規模生産基盤を維持しながら市場を拡大するうえでの強みとなっています。
R&Dによる製品の共同開発支援
Hyundai Aluminum VinaはベトナムにR&Dチームを置き、大型案件や高度な研究が必要なプロジェクトでは韓国のチームと連携しています。
グループのR&D体制は、技術・工程・製品の開発から設計、解析、試作まで幅広い機能を担っています。開発材料の一つに、強度と加工性に優れ、構造物、道路、橋梁用途に適したアルミニウム合金があります。
ベトナムのR&Dチームは韓国の工科系大学やベトナムの工科大学の出身者を中心に構成されており、多くの案件を独自に進めることができます。·より大きな研究リソースが必要な場合は韓国側と連携し、VKISTとも協力しています。この能力により、新製品では初期研究段階から参画し、量産投資に入る前に、設計の最適化、材料選定、工程構築を顧客と共同で進めることができます。
これは、太陽光パネル用フレーム、EV用バッテリーケース、サーバー向けアルミニウム部材、建築用アルミニウム部材など、付加価値の高い製品を中心に、同社がベトナムでさらに強化したいと考えている方向性でもあります。
市場戦略における「Made in Vietnam」
Hyundai Aluminum Vinaの市場戦略では、生産能力に加えて製品原産地も重要な要素となっています。

同社は、ベトナムでの生産に使用する主要アルミニウム原料は中国から輸入していません。主な調達先はベトナム、米国、中東、マレーシアです。ビレット鋳造から加工・仕上げまでをベトナムで管理することで、原産地要件への対応力を高めています。主要市場で原産地とサプライチェーンの追跡要件が厳格化するなか、これは太陽光パネル用フレーム、電子部品、電気自動車向け部品などの輸出品にとって特に重要です。
Aluko Groupは世界各地で、市場地域ごとの生産能力を重視しています。アジア向け受注では、ベトナムが重要な生産基盤の一つです。一方、米国や欧州などの市場には、グループネットワーク内の各地域拠点を通じて対応できます。
Hyundai Aluminum Vinaにとって「Made in Vietnam」は、製品に表示する原産地情報だけではありません。原材料管理、工程の追跡、国際貿易に伴うリスクの抑制が可能な供給元を求める顧客へアプローチするうえでの優位性でもあります。
EMIDASものづくり商談会:ベトナムとアジアでのプレゼンス拡大へ
EMIDASものづくり商談会(FBCアセアン)2026は、Hyundai Aluminum Vinaが従来の代理店経由ではなく、出展者としてベトナム国内の展示会に直接参加する初めての機会となります。
第一の目的は、ベトナムおよびアジアでのブランド認知を高めることです。同社はすでに複数の大手サプライチェーンに参画していますが、これまで国内市場で自社の能力を直接紹介する活動には大きく投資してきませんでした。
第二の目的は、ベトナム企業、日本企業、シンガポール企業、およびベトナム原産のアルミニウム供給元を探す企業を中心に、新規顧客との接点を広げることです。
第三の目的は、新たな成長分野を紹介することです。太陽光パネル用フレーム、バッテリーケース、建築用アルミニウム、アルミはしごに加え、テクノロジーインフラやデータセンターの成長に関わるサーバー向けアルミニウム用途に特に注目しています。
ものづくり商談会はまた、大規模な生産案件だけでなく、中小ロットの注文を持つ顧客とHyundai Aluminum Vinaが直接出会う場でもあります。ベトナムの営業チームは、こうした顧客層に対応するために独自に組織されています。
一貫した生産基盤、約3,000人のチーム、大型プロジェクトから柔軟な受注まで対応できる体制を背景に、EMIDASものづくり商談会(FBCアセアン)2026は、Hyundai Aluminum VinaがOne-Stop Systemと「Made in Vietnam」の強みを市場へより広く伝える機会となるでしょう。