企業紹介 2026年09月03日11:15

Kamogawa Vietnam Co., Ltd.: 工具商社の枠を超えて、技術サービスでベトナム製造業を支える

2004年にベトナムへ進出したKamogawa Vietnam Co., Ltd.は、切削工具などの生産財販売を軸に事業を拡大し、現在では工作機械やロボット、自社ブランド製品の販売、自社工場での特殊工具製作・再研磨、設備メンテナンスまで手掛ける。近年はFA(ファクトリーオートメーション)分野にも注力し、「技術サービスを提供する商社」として存在感を高めている。ベトナム製造業の変化とともに進化を続ける同社の事業戦略や競争力、そして2026年9月開催の「FBCアセアンものづくり商談会」への期待について、中内大輔社長らに話を聞いた。

Kamogawa Vietnam Co., Ltd.:  工具商社の枠を超えて、技術サービスでベトナム製造業を支える

顧客の要望が、事業領域を広げてきた

Kamogawa Vietnamは、顧客から寄せられる要望に一つひとつ応えながら、20年以上にわたり事業を拡大してきた。

当初の主力は工具などの生産財だった。製造現場との関わりが深まるにつれ、「機械も導入したい」「据え付けや保守まで任せたい」といった要望が増加。同社は機械販売にも乗り出し、設置や保守にも対応できる仕組みを整えていった。

「機械を扱う以上、販売だけではなく、自社でメンテナンスや据え付けまで対応できる体制が必要になります。そこで早い段階から、技術サービスを組み合わせた対応を進めてきました」と中内氏は振り返る。

その後、2013年には自社工場を開設した。特殊工具の製作や再研磨を現地で行えるようになったことで、短納期とコスト低減を両立。超硬工具やダイヤモンド工具の再研磨にも対応し、日本で培った加工技術をベトナムへ展開してきた。

さらに近年は、ロボットを活用したFA分野にも力を注ぐ。社内にはロボットエンジニアや設計エンジニアを配置し、ティーチングやプログラム作成、自動機の構想設計まで自社で手掛ける。製品を販売するだけではなく、現場全体の改善まで支えている。

「お客様が求めることには、どんどん挑戦していこう」。その姿勢が、Kamogawa Vietnamの事業領域を大きく広げてきた。

生産性向上を支える「商材」「技術」「物流」

現在、Kamogawa Vietnamへ最も多く寄せられる相談が、生産性向上に関するものだ。人手不足や品質改善、加工時間の短縮、コスト削減など、製造業のニーズは年々多様化・高度化している。

そこで同社は、設備や工具を個別に提案するのではなく、現場全体を見渡しながら最適な組み合わせを導き出す。その土台にあるのが、幅広い商材の取り扱いだ。切削工具の見直しで改善できる工程もあれば、工作機械の更新やロボット導入が有効なケースもある。さらに特殊工具の製作や再研磨、設備保守まで組み合わせることで、生産ライン全体の効率化を図っている。自社ブランドとしては、生産財全般を扱う「KAMOG(カモッグ)」、ダイヤモンド電着工具の「DIAMANT(ギヤマン)」、切削工具に特化した「KAMOSOL(カモソル)」の3ブランドをベトナムで展開している。こうした自社製品の存在も、顧客への提案の選択肢を広げる。

「新しい技術や製品を活用しながら、生産性向上に向けて常にご提案しています」と中内氏は話す。

もう一つ同社が重視しているのが、物流だ。日本からの調達力を生かし、エア便と船便を使い分けた輸送網を構築。Non-EP企業向けの在庫管理やEP企業向け保税倉庫にも対応し、顧客の事業形態に応じた物流サービスを提供している。調達から納品、在庫管理までを一体で担うことで、安定した生産活動を支える。

また、ハノイ、ハイフォン、ダナン、ホーチミンの4拠点を展開し、ベトナム全土をカバー。日本人社員はハノイに4名、ホーチミンに2名の計6名。ベトナム人営業スタッフは全拠点で14名を配置し、会社全体では約60名の体制で事業を展開している。日本法人やグループ会社とも連携しながら、幅広い案件に対応できる。

「豊富な取扱品目、技術サービス、物流。この三つが弊社の大きな強みです」

製品を供給するだけでなく、それらを掛け合わせた提案力にこそ、Kamogawa Vietnamの独自性がある。

広がる市場、増える事業機会

同社の顧客は現在、約8割が日系企業を占める。一方で近年は、ベトナムのローカル企業との取引も増えつつある。業種も四輪・二輪関連を中心とした従来の構成から、半導体製造装置や電子部品分野にも広がっている。

AIやデータセンター向け需要の拡大を背景に、半導体市場への投資は世界的に活発化している。その流れはベトナムにも及び、関連企業からの引き合いも増えてきた。以前であれば海外で対応していたような高精度部品も、ベトナム国内で加工されるようになった。日系メーカー向けに培ってきた金属加工の技術やノウハウが、こうした分野でも生かされている。

一方で、四輪・二輪関連は今なおベトナム製造業を支える重要な市場だ。急成長期は一段落したものの、需要は底堅く、多くの企業が既存事業を基盤としながら、新たな分野へも軸足を広げている。

「価格」だけでは選ばれない市場へ

事業領域が広がる一方で、ベトナム製造業の発展に伴い、商社に求められる価値も変わりつつある。かつては価格が重視される傾向が強かったが、近年は生産性や品質、設備の稼働率まで含めた総合的な改善提案が評価されるようになってきた。

中内氏は、「以前はイニシャルコストだけで判断されるケースが多くありましたが、最近は工具寿命や生産性まで含めて考えていただけるお客様が増えてきました」と変化を実感する。

一方で、競争環境は年々激しさを増している。中華系メーカーに加え、近年はインド製の工作機械や切削工具なども価格競争力を高めており、「日本製だから選ばれる」という時代ではなくなってきた。だからこそ重要になるのが、顧客ごとに最適な解決策を示す力だ。

「技術力や提案力、経営力がより重要になる市場になっています。経験を積んだ企業にとっては、逆に勝負しやすい市場になってきているとも感じています」

ベトナムで育ったFA事業が、日本へ逆輸入

その技術力・提案力を象徴する取り組みの一つが、FA事業の急成長だ。この事業は、日本ではなくベトナムで立ち上がった。きっかけはコロナ禍だった。人手不足や省人化への関心が高まり、ロボットを活用した自動化への引き合いが急増した。しかし当時、同社にはFA分野のノウハウがほとんどなかった。

「最初の1~2年は知見も少なく、なかなかうまくいきませんでした。それでも、技術サービスを軸に提案するという考え方は変えず、ロボットメーカーやベトナム企業と協力しながら事業を育ててきました」

事業を進める中で、自社でも専門人材を育成し、構想設計からティーチング、設備立ち上げまで社内で対応できるようになった。

「ベトナムで成果が出始めたこともあり、日本でも2026年からFA事業が本格的に立ち上がりました。ベトナム発で始まった事業の一つです」と中内氏は語る。

人材とショールームが、技術力を支える

FA事業の成長を支えているのが、人材育成とショールームの存在だ。創業当初、工場では日本人が技術指導を担っていた。しかし四半世紀近くが経過した今、製造現場はベトナム人スタッフが中心となって運営している。営業部門でも、日本で自動機設計やメーカー勤務を経験したベトナム人技術者が帰国し、専門知識を生かして活躍している。

「今ではベトナム人スタッフが自ら後進を育てるまでになりました。20年以上かけて築いてきた大きな財産だと思っています」

もう一つの柱が、ハノイにあるショールームだ。設備や技術を体感できる拠点として活用されている。館内には工作機械や測定機器、ロボット、自動機などを展示。単に製品を並べるだけではなく、実際に設備を動かしながら試作や操作説明を行える環境を整えている。

ロボットについてもティーチング済みの実機を展示し、導入後の活用イメージを具体的に共有できるよう工夫している。設備導入が初めての企業には、操作トレーニングまで実施している。

ショールームは、営業活動の場であると同時に、人材育成の拠点としても機能している。実機に触れながら知識を深めることで、営業担当と技術担当の連携強化にも役立っている。

ショールームで培ってきた「見て、触れて、体感できる」提案力を、より多くの企業に届ける場として同社が力を入れているのが「FBCアセアンものづくり商談会」である。

FBCアセアンで示す、Kamogawa Vietnamの進化

Kamogawa Vietnamはこれまで、FBCアセアンへ継続して出展してきた。2026年は展示内容を大きく見直す。

「工具だけではなく、設備や自動化への取り組みも知っていただきたいという思いから、今回の展示内容を決めました」とハノイ営業所長の桂大介氏は話す。

ブースでは、工作機械のほか、自動バリ取り装置や排水処理向けのろ過装置、産業用ロボット、協働ロボットなどを展示する。

自動バリ取り装置は、加工後のバリ取り作業を自動化する設備で、人手不足への対応や品質の均一化を支援する。ワークをセットするだけで約10秒で処理できることから、手作業による負担軽減にもつながる。

排水処理向けのろ過装置は、切削液や研削液をろ過し、汚泥だけを分離してきれいな水にして排水できるシステムだ。薬剤を使わないフィルター方式を採用しており、産業廃棄物の処理コスト削減やメンテナンス負荷の軽減にも貢献する。同社ではデモ機も用意し、顧客の排水を使って導入効果まで検証した上で最適な設備を提案している。

ロボットについては、日本メーカー製の産業用ロボットと、中国メーカー製の協働ロボットを展示する。用途や予算に応じた選択肢を提示するとともに、ロボット単体ではなく、周辺設備を含めたシステム全体での自動化を進めていく考えだ。

桂氏は、FBCアセアンを「非常に相性が良い展示会」と位置付ける。日系企業とベトナム企業が幅広く集まる場だからこそ、Kamogawa Vietnamの提案力を発揮しやすいと考えている。

さらに、「私たちだけでは、すべてのお客様へ情報を届けることはできません。展示会で『こういう設備があるんだ』と知っていただくだけでも、その後の引き合いや設備改善のきっかけになります。既存のお客様との再会はもちろん、これまで接点のなかったお客様ともお会いできる場ですので、とても楽しみにしています」と話す。また、FA事業を担当する小松田優太氏は、「今回は、小物だけでなく設備まで含めた商社機能をご提案します。ベトナム市場が今後さらに成長していく中で、弊社としても次の成長につながる大きなきっかけになる展示会だと思っています」と意気込む。

生産財の総合サプライヤーとして進化を続けるKamogawa Vietnam。FBCアセアンでは、その幅広い提案力が示される。

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