企業紹介 2024年11月02日09:35

ステンレス鋼材のV-ステンレス・スチール　フンイエン省に新工場を建設し生産強化へ

ステンレス鋼材の加工・販売を手掛ける日系2社の合弁会社、Vステンレス・スチールが、2025年4月の操業開始を目指し、北部フンイエン省のYen My2 Industrial Parkに新工場の建設を決定した。ベトナムではインフラ開発やエネルギー関連など、幅広い分野でステンレス鋼材の需要が拡大している。同社はこうした需要増に対応するため、生産体制の強化を進めている。昨年11月に創業10周年を迎えたVステンレス・スチールの新たな挑戦に注目したい。

Vステンレス・スチールは、ステンレス鋼管の加工・販売を手掛ける日鋼ステンレスと、ステンレス鋼材の加工・販売を行う豫洲短板産業との合弁会社で、2013年11月に設立された。以来、ベトナムにおいてステンレス及び特殊鋼の切断加工・販売事業を展開。現地日系企業や地場企業に、各種プラント機器や医療機器、厨房、半導体関連などの部品に使用される各種ステンレス鋼材を販売し、順調に実績を伸ばしてきた。

2022年には南部ドンナイ省ヌンチャク3工業団地の工場を、それまでの3200平米から4500平米へと増設し、同年4月から本格稼働を開始。各種プラント工事やインフラ整備等の需要に対応するため、厚さ150mmの鋼板が切断可能なKOIKE製のプラズマ切断機を新たに導入した。このマシン導入により、同社で切断可能な板厚はこれまでの6‐35mmから6‐150mmへと広がった。また同年5月には丸棒、条鋼を切断するバンドソー1台も追加し、切断能力の増強と効率化を実現した。

生産体制の強化はそれにとどまらない。23年11月に創業10周年を迎えた同社は、今後のさらなる需要増に対応するべく、北部フンイエン省のYen My2 Industrial Parkに新工場の建設を決定。新工場の敷地面積はドンナイ本社と同じく10,000平米、工場建屋面積は5,500平米を計画しており、25年4月の操業開始を目指す。ドンナイ本社とは異なる設備の導入を計画し、顧客からの様々なステンレス鋼材の需要にこたえられるよう投資を行っていく。

Vステンレス・スチールでは、ステンレス、鋼板、鋼管、丸棒、型鋼、継手、その他特殊鋼など約1900トンの在庫を常備しており、切断加工による少量販売などにも対応する。品質は「日本クオリティ」を前提とし、メーカー選定や品質チェックを経た在庫発注・管理をしている。また同社では2相鋼も常備している。2相鋼は従来の304、316ステンレスに比べ高強度かつ高耐食であり、ニッケル含有量が抑えられているため価格の安定性も高く、ベトナムにおいて今後、多様な分野でのニーズが期待される。

Vステンレス・スチールは、「必要なものを、必要なだけ、必要な時にお届けする」を理念に、在庫管理から切断加工、納期管理、配送まで徹底した工程管理体制を確立している。在庫管理面では、形状・鋼種・規格・入荷時期などで商品を細かく分類し、固有の商品番号を振り当てて商品の管理・追跡を容易にしている。現場作業においては、バーコードを用いてタブレット上で工程管理を実施。バーコード管理は手入力による間違いをなくし、各工程にチェック機能を設けることで顧客への誤出荷を防止する。また、現場作業にバーコードを用いることで工程・在庫状況がタイムリーに社内システムへ反映され、漏れなく安定した納期管理を実現させている。

今後の展望は、販売網をベトナム全土に拡大させ、現地でより早く便利に材料が入手できる対応を実現すること。Vステンレス・スチールは目標達成に向けて着実に歩みを進めている。