自動化された新工場棟

新工場棟は、ベトナム南部ホーチミン市に北接するビンズオン省第2工場の第2棟として完工した。縦90メートル、横50メートル、高さ4階建ての延べ床面積は約1万8000平方メートル。1階には金型及び射出成形の加工室。350トンまで対応可能な成形機を配置し、CNC（コンピュータ数値制御）工作機械などとの連続一貫生産が可能だ。室温は摂氏25度±1度と一定で、「ホワイトルーム」と呼ばれる準クリーンルーム仕様にもなっている。

2階には、設計室及び機能検査室を配置。さまざまなデータの収集を通じて、製品開発を後押しする。3階と4階は組立工場。ハイレベルのクリーンルーム仕様で、医療機器や携帯電話部品、光学レンズ部品など高い精度とクリーンさが求められる精密部品を生産する。コネクタ、スイッチ、フィルターなどの受託生産も行う。

品質の高さに加えて特筆されるのが、工場内の自動化・省人化だ。場内の床にはレールが敷かれ、自動搬送車が金型の搬送などを行う。生産の現場には水平多関節型の産業用ロボットであるスカラロボットを配置。製品を据え置くセッティングの自動化も実現させ、人の関与を極力減らすことに成功した。

背後にあるのは、ベトナム市場でも進む人件費の高騰がある。人を増やせばよいという労働集約型の生産は、ここでもすでに過去の遺物だ。最先端の自動化設備の導入で、ベトナム法人YUWA VIETNAM CO.,LTDが抱える全1300人体制を維持しながらの増員なき新工場棟の操業にこぎつくことができた。

「点から面への転換」

新たな工場棟の完成に伴い、現場を束ねる日本本社の専務取締役でベトナム法人のGeneral Directorを務める飯高真一氏は「点から面への転換」を目指す。請け負ってきたプラスチック射出成型の仕事や金型製作の仕事。「そうした一つ一つを大切にしながらも、加飾や組み立て、アッセンブリなどの周辺の新たな仕事も受注していくことができれば、企業としてさらなる発展と成長が見込める」というのが理由だ。

その一貫として、自動機の販売も進めていく。ただ売るだけではない。今後、進んでいくであろうベトナム市場の自動化の波。提案型のソリューション販売で、顧客の掘り起こしも進める考えだ。合わせて、EV化に伴う車載部品や医療機器・部品などクリーン度の高い製品、カメラモジュール、携帯電話などの精密部品の各種市場にも貪欲に進出していく考えだ。

新工場棟の完成で、ベトナム工場全体として射出成形機300台、金型加工機200台の体制が整った。これだけの規模を誇る生産拠点は、ベトナムはもとより周辺国を探してもそうはない。中国市場からベトナム市場への国際的な工場移管の動きも加速している。目指すは総合力の強化。東南アジア随一のトップメーカーを目指す。

人材の強化も

人材の強化も成長の大きな柱だ。現在は数人に過ぎない女性の割合を2割に引き上げていくことを当面の目標とする。大学で専門課程を学んだ女性エンジニアを進んで採用し、将来の幹部として育てていくのが目的だ。合わせて、日本本社のある長野県の国立信州大学繊維学部には毎年2～3人の修士留学生も派遣している。10年後、20年後を見据えた企業戦略がそこにある。

「手先が器用で、データ処理に強いというのがベトナム人エンジニアの印象だ」と飯高氏。一方で、「近ごろは日本と同様に、油まみれになることを敬遠する若者が増えている」とも。こうした新世代の人材採用と一体となった、今回のハイテク新工場棟の完成。2024年がユウワ・ベトナムの新たな成長の起点となることは間違いがないだろう。

YUWA VIETNAM CO.,LTD

【金型工場】No.15 Street No.6, Vietnam Singapore Industrial Park II, Hoa Phu Ward, Thu Dau Mot City, Binh Duong Province

【成形工場】No.7, Street No.19, Vietnam Singapore Industrial Park II- A, Vinh Tan, Tan Uyen Town, Binh Duong Province

牧野（日本人直通）Mobile: (+84)126 5226 177／ Email: t-makino@yuwa-net.co.jp

Thuy: yvl-sales@yuwa.com.vn

Huong: myhuong@yuwa.com.vn