日経アジアによれば、米パソコン大手HP(ヒューレット・パッカード)は2024年からパソコン生産の一部をベトナムに移管する計画だ。

同社はPCサプライチェーンを多元化し、中国への依存を脱却するため、パソコン生産の一部を今年中にタイとメキシコへ、2024年からベトナムへ移管する計画だ。
市場調査会社カナリス(Canalys)によると、昨年度、HPのパソコン出荷量は5520万台で、レノボに次ぐ世界2位にある。2023年、同社の中国国外でのPC生産台数は最大500万台に達する見込みだ。
これに先立ち、他の米国メーカーであるデル(Dell)は中国製チップの使用を大幅に削減する意向も示した。同社のサプライチェーン多元化事業はHPよりもはるかに早く実行された。今年度のデルパソコンの2割以上をベトナムで生産し、2024年末までに中国製チップを完全に廃棄する予定だ。
また、アップルもベトナムでMacBookの製造を開始し、パソコン組立を初めて中国以外の国に移した。
生産拠点を中国から移転する理由として、地政学的な不確実性以外に、生産コスト増加や従業員採用の困難性、人件費の増加という要因も挙げられている。とはいえ、HPは2008年から中国・重慶を主要なパソコン生産拠点とし、完全なサプライチェーンを構築したため、中国離れは困難だと指摘されている。
カナリスによると、米国はHPとデルにとって最大のPC市場で、第1四半期の市場シェアはそれぞれ約31%と40%だった。一方で、中国の市場シェアはそれぞれ7.5%と8%にとどまった。「中国離れ」の動きの有無は両社にとって、中国での市場シェアへの影響が限られるが、米国での市場シェアへの影響が比較的大きくなると予測されている。