国際協力機構(JICA)は23年4月~24年3月期、ベトナムに1020億円の円借款を供与し、過去6年で最高となる。
17日、JICAベトナム事業報告会にて、事務所長の菅野祐一氏は、「2023年は日越外交関係樹立50周年の節目の年であり、11月の国家主席訪日時には、「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」への格上げが両国首脳にて確認されました。」と述べた。
日越友好関係を基盤とし、JICAはベトナム経済発展を促進するために、複数の支援活動を行っている。23年4月~24年3月において、JICAはベトナムに合計1020億円の円借款を供与し(民間部門への投資を除く)、2017年以降で最高となる。うち、技術協力は執行額が52億円に達し、同年度全世界で最大となる。
「質の高い成長」、「脆弱性への対応」および「人材育成」という3つの重点分野に焦点を当て、支援を行っている。
質の高い成長
8月、ホーチミン市で有償資金協力で整備されたベトナム最大規模のビンフン下水処理場の竣工式が開催された。ハノイにおいても大規模のイエンサ下水処理場の整備を進めている。また、注目を浴びているホーチミン市メトロ1号線は試運転を開始されている。
脆弱性への対応
ベトナム北部に上陸した台風11号ヤギにより深刻な被害を受けたイエンバイ省の2000世帯に緊急物資として浄水器とプラスチックシートを提供した。ソンラ省をはじめ、土砂災害リスクの高い地域で土砂災害対策を検討・展開している。
農業分野では、3月に中部ゲアン省で灌漑システム改善事業の落成式を開催した。
医療分野では、5月に国立がんセンター(K 病院)の医療機材整備のための無償資金協力を実施した。また、ウイルス性肝炎の予防・対策強化に向けた技術協力プロジェクトを推進する計画だ。
人材育成
2024年は日越大学創立10周年の節目の年となる。日本研究をより発展させる目的で、JICAはベトナム社会科学院(VASS)と提携し、日越関係史を概観する教材を作成している。