製造業ニュース 2026年09月25日17:27

大野精工ベトナム、 5軸加工機導入で対応領域を拡大

高精度加工を強みとする大野精工ベトナムが、新たな一手を打った。ホーチミン工場にマキノ製5軸マシニングセンタ「DA300」を導入し、このほど本格稼働を開始した。従来培ってきた精密加工技術に5軸加工という新たな強みが加わり、航空機や半導体、医療機器、EV関連など、高度な加工が求められる分野への対応力を高めた。

大野精工ベトナム、 5軸加工機導入で対応領域を拡大

段取り短縮と精度の安定を実現

今回導入したDA300は、精緻な部品加工向けに開発された立形5軸マシニングセンタだ。最高20,000min⁻¹の高速主軸と、剛性の高いA軸・C軸を搭載し、高速回転時も振動を抑えて高い位置決め精度を実現する。最大ワークサイズは直径450mm、高さ400mmで、複雑な三次元形状の加工にも対応できる。

5軸加工機の最大の特長は、ワークを一度固定するだけで、多方向から連続して加工できる点にある。従来の3軸加工では、加工面ごとにワークの向きを変え、原点を合わせ直す必要があり、段取りに時間がかかるだけでなく、位置決め精度にばらつきが生じることもあった。

「5軸加工機なら、一度セットすればテーブルが回転し、機械任せで仕上げられます。段取りも早く、品質も安定します」

そう語るのは、大野精工ベトナムのファン・ビン・ユーン社長だ。

段取り回数が減ることで位置決め誤差を抑えられ、加工効率も向上する。試作や治工具、多品種少量生産を得意とする同社にとって、その効果は大きい。

5軸制御立形マシニングセンタ「DA300」

高難度加工の幅を広げる

5軸加工機が真価を発揮するのは、複雑な三次元曲面を持つ部品の加工だ。代表例としてユーン社長が挙げるのが航空機のタービンである。羽根が複雑な曲面で構成されるタービンは、多方向から工具を当てながら精緻に加工する必要があり、5軸加工機でしか対応できない。

3軸加工機で複雑形状を加工する場合は、加工面ごとに段取りを重ねなければならず、良好な公差を安定して出せるかどうかは、オペレーターの技量に大きく左右される。

今回の設備投資により、高難度部品への対応力は一段と高まり、医療機器やEVなど品質要求の厳しい分野にも柔軟に応えられるようになった。近年は半導体関連に加え、米国向けロボット開発用の試作部品や精密治具などの案件も増えているという。こうした分野では仕上がりの精度に加え、短納期で試作品を供給できるスピード対応も求められる。

自動化も進め生産性を向上

今回の投資は、5軸加工機の導入にとどまらない。現在はDA300とロボットを組み合わせた自動化システムの実運用も進めており、材料の供給から加工、完成品の搬出までを自動化する。夜間の無人運転も視野に入れ、生産性の向上と人手不足の解消に取り組んでいる。

「人はプログラム作成など、より付加価値の高い仕事に集中できます」とユーン社長は語る。

2013年の操業開始以来、大野精工ベトナムは、多品種少量の精密加工を通じて「日本品質をベトナムで」実現してきた。今回の設備投資により、高難度加工と自動化を両輪として、競争力を一段と高める。進化を続ける製造現場の要請に応えながら、さらなる事業拡大を目指す。

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