ベトナム製造業の11月の購買担当者景気指数(PMI)は前月比2.3ポイント低下し、直近5カ月間で最低。業況悪化を受け、3カ月連続で低下した。
S&Pグローバルが発表した11月のベトナム製造業購買担当者景気指数(PMI)によると、新規受注の減少によって生産活動の縮小が加速したこと、雇用と購買が再び削減されたこと、投入コストが高騰したことという3点が指摘されている。
新規受注の減少によって生産活動の縮小が加速
11月の新規受注は減少傾向に転じ、3カ月連続の増加に終止符を打った。減少幅は5月以降で最大となり、新規輸出受注も4カ月ぶりに低下した。販売価格の向上は需要縮小の一因として挙げられている。
新規受注の減少によって、製造業者は3カ月連続で減産を続けている。特に、減少幅は5月以降で最も急激となる。
投入コストが高騰
インフレ率が9ヵ月ぶりの高水準に達し、ドン安による輸入品価格の上昇から影響を受け、投入コストは高騰傾向にある。11月の投入コスト上昇幅は2月以降で最も高くなった。
それに対応するため、製造業者は4カ月連続で販売価格を引き上げた。なお、販売価格の引き上げは需要の低迷につながり、悪循環を招く恐れがある。
雇用と購買が再び削減された
減産及び受注残の縮小によって、雇用と購買の両方が削減された。雇用者数は過去9ヶ月のうち8ヶ月減少している。一方で、購買活動は3カ月ぶりに減少した。
需要が低迷する中、原材料と完成品の在庫はともに3カ月連続で減少した。原材料の在庫は6月以降で最大の減少幅を記録した一方、半製品・完成品の在庫は微減にとどまった。
投入資材の需要減退かつ十分な在庫は相まって、11カ月連続の納期短縮につながった。
2024年から新規受注が増加傾向に転じ、生産活動も活発になると期待されているとはいえ、景況感は2ヵ月連続で低下し、過去の平均を下回った。経済の脆弱性と需要の落ち込みを懸念する声が多く出ている。