10月のベトナム製造業の購買担当者景気指数(PMI)は49.6ポイントで、2カ月連続で50を下回っている。
S&Pグローバルが発表した10月のベトナム製造業購買担当者景気指数(PMI)では、「生産量の2カ月連続減少」、「安定した雇用状況」、「投入コストの急騰」という3点が指摘されている。
10月、新規受注が微増したにもかかわらず、生産量が引き続き減少している。ベトナム製造業の業況悪化が明らかとなる。なお、雇用状況が改善の兆しを見せることや、企業の購買活動が拡大傾向にあることからすれば、2024年の業況回復を楽観視するメーカーもある。
生産量が2カ月連続で減少
需要回復とともに新規受注は3カ月連続で増加している。但し、伸び率が未だに低調だ。新規輸出受注の成長も鈍化しているとはいえ、新規受注全体の成長を上回っている。
新規受注の微増に反して、生産量は軽減傾向にある。新規受注増加に応えるために増産した企業もある一方、大部分は増産する必要がなかった。その結果、生産量は2カ月連続で減少している。
雇用状況が安定化
10月の雇用状況は7か月間の雇用減少から安定に転じた。雇用拡大の主因として、「新規受注増加に対応する」および「2024年の業況回復を楽観視する」が挙げられている。
雇用状況の安定化や既存の過剰生産能力により、10月の受注残は大幅に減少した。これは2021年6月から最大の減少率となる。
投入コストの急騰
原油価格の沸騰やドン安は相まって、インフレ加速と生産物価の上昇につながった。原油価格の高騰は燃料やプラスチックといった主要原材料の価格に影響するため、投入コストを引き上げた。ドン安ドル高はその圧力をさらに強めた。その結果、販売価格も大幅に上昇した。
一方で、購買活動は堅調な増加を続け、3ヵ月連続で拡大した。これは雇用の安定化と共に、企業が需要改善が今後数か月間持続すると予想しているということを示唆する。
他の動向
企業は新規受注に対応するため、生産を増やす代わりに在庫を出荷する取り組みを進めている結果、完成品在庫は減少した。
過剰生産能力により、サプライヤー納期が短縮化基調にある。なお、10月の納期短縮率は直近7カ月で最低となる。