大野精工ベトナムは治工具、専用機部品、試作品などの業界向け精密機械部品のメーカーであり、CNCフライス盤 (Brother、Okuma、Akira)、5軸マシニングセンター (Fanuc)、CNC旋盤(Okuma)、ワイヤーカット(Mitsubishi、Fanuc)などの最新の機械を使用して、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、銅などのさまざまな材料を加工している。現在、同社の製品の8割は愛知県にある親会社に輸出されており、残りの 20%は国内市場で販売、または米国などの他の市場に輸出されている。
※本インタビューはエミダスマガジン6月号の特集「測定・検査の省力化 第3回」の一部です。特集全文はこちらからお読みください。
検査・測定工程の重要性について、大野精工ベトナムの社長であるファム・ビン・ズオン氏は次のように語った。
「検査・計測工程は、製品に付加価値をもたらすものではないが、顧客に対して企業のブランドバリューや信頼性を確認するための重要なステップとなる」
言い換えれば、検査・測定工程は単に生産プロセスに不可欠なステップであるだけでなく、品質と信頼性の核心である。各工場のQC部門は、単なる実験室・検査室ではなく、会社の品質に対する誇りと信頼性を各製品に刻み、すべての製品が最高の基準を満たし、お客様に絶対的な満足をもたらすことを保証する場所でもある。
大野精工ベトナムは、検査・測定工程の重要性を深く認識しており、設立当初からこの工程を最高の精度で実施できるよう投資に細心の注意を払ってきた。同社のQC部門は、測定精度に影響を与える温度変化がないことを保証するために、常に摂氏20±1度の一定温度に維持されている。また、三次元測定機、硬度計、光沢計、顕微鏡などの最新の機械設備も導入してきた。特に、測定業界の自動化の流れを把握し、2023年の初めから、ソフトウェアでプログラミングして自動測定を行う機能を備えたミツトヨのCMMを導入している。ズオン社長によると、ミツトヨはベトナムでも日本でも有名で非常に人気のあるブランドである。このCMMへの投資により、大野精工の測定精度がさらに向上することが期待される。
設備や機械への投資に加え、大野精工ベトナムは作業者のスキルアップのための研修にも力を入れている。高精度な単品生産を得意とする同社の製品は、形も大きさも多種多様である。したがって、多様な製品に対応できる従業員のスキルアップは非常に重要となる。そのため同社は親会社の研修に参加させ、社員の能力を向上させるプログラムを継続的に実施している。研修終了後はベトナムに戻り、学んだ知識を同僚と共有し続ける。現在、大野精工ベトナムの管理職はすべて、日本の親会社で3~5年働いた経験を持つ社員である。
「大野精工ベトナムは、創業から現在までの10年余りの間に、QCプロセスにおける誤った判断から、お客様にご満足いただけない製品をお届けしてしまうという課題を経験し、貴重な教訓を得ることができた」(ズオン社長)
同社はそのような失敗から学び、作業工程を継続的に改善してきた。現在ではベトナム国内だけでなく、国際市場でもブランドバリューを徐々に高めている。そして、ズオン社長の言葉通り、大野精工ベトナムのブランドバリューを構成する重要な要素のひとつは、検査・計測工程だと言える。
Ohnoseiko Vietnam Co.,Ltd
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