専門家コラム 2022年10月12日16:27

ベトナム子会社の現地給与について

 最近はコロナウィルスの渡航への影響も緩和されてきており、また、新年度を跨いだ直後の時期でもあり、異動によりベトナム子会社へ赴任されたばかりの方もいらっしゃるでしょう。赴任される方の現地給与はどのように決定されることが多いのでしょうか。今回は、海外事業経験の少ない会社からベトナム子会社へ赴任された方の現地給与の決定及びその給与決定が及ぼす影響についてです。

ベトナム子会社の現地給与について

1.ベトナムでの給与決定 

 海外事業経験が豊富な会社でなく、ベトナムの子会社設立が初めての海外進出という会社など、あまり海外事業経験がない会社では、海外赴任に関する本社の規定自体がない会社も少なからずあります。このようなことは、海外事業の展開の順序を考えれば、本来あってはならないことですが、仕方のないことだと思います。海外事業経験の少ない会社が海外進出に関する事項を決定する場合、進出場所の決定、現地パートナーの探索及び事務所又は工場設置などが優先され、赴任者の現地給与に関する事項はどうしても後回しになることが多いからです。

 このように本社の規定がない中では、ベトナム子会社での現地給与はどのような基準で決定されることが多いのでしょうか。実際には、日本支給給与の〇%、ベトナム子会社の職位に応じた現地水準給与及びベトナムで1か月暮らせる程度の金額など、様々な基準で決定されています。

2.現地給与が与える影響

 様々理由から決定される現地給与ですが、では、どのような影響があるのでしょうか。

ケース①:ベトナム税務調査での現地給与金額が少ない旨の指摘

 ベトナム子会社の職位に応じた現地給与でない場合、この給与金額が低い旨の指摘を受けることがあります。このような場合、現地給与の引き上げ及び納税を指導されることもあります。なお、このような指摘を受ける場合は、日本給与を合算し、全世界所得をベトナムで確定申告していないケースが多いです。

ケース②:日本税務調査での現地給与金額が少ない旨の指摘

 日本の税務上、他法人への出向者給与について、本社と出向先の給与水準に差がある場合、出向先の職位に応じた適切な給与を出向先が負担している場合、その差額を本社が負担することは認められています。現地給与が少ない、すなわち、ベトナム子会社負担の給与が職位に応じた現地水準給与を下回っている場合、日本本社での給与負担額を否認される可能性があります。

 本社給与を否認される場合、例えば、本社負担、月額50万円、日本の法人税の実効税率を23%とした場合、3年間分の税務調査では、月額50万円×12か月×3年間×23%=414万円の追徴税額となり、本社へのインパクトは比較的大きなものとなります。

 本社から異動で赴任された駐在員の方は現地給与の金額について、一度、見直されてはいかがでしょうか。また、これから赴任される方は、現地給与金額の設定は慎重にされた方がよろしいかと存じます。

文/盛田信(もりたしん)

日本国税理士 Meinan Tax Vietnam Co., Ltd (税理士法人名南経営より出向) 大学卒業後、農林水産省、 愛知県庁を経て名南税理 士法人 (現: 税理士法人名 南経営)に入社。2011年 には、中国の NAC 名南の 初代青島事務所長を勤め、 日系企業の会計税務相談 を中心とした業務に携わ る。 2015年4月より現職。 Meinan Tax Vietnam Co., Ltd は名古屋にある税 理士法人名南経営のグループ会社であり、 2015年4 月の設立以来、 会計税務を中心としたサービスで日 系企業のベトナムでのビジネスを支えてまいりまし た。 ここでは、 筆者の業務経験に基づき、皆様の関 心の高い事項をお話ししていきたいと思います。

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