専門家コラム 2022年10月08日04:39

ポストコロナ時代、投資家が注意すべき「安値の罠」

 コロナ後のベトナム経済の迅速な回復と発展は、多くの国際機関によって期待されている。世界銀行によると、2022年初頭、ベトナムの工業生産指数は前年同期比8.5%増となり、特に製造加工業の状況が改善された。高いワクチン接種率が安心材料となり、多くの投資家がベトナム市場に戻り、生産を拡大している。

ポストコロナ時代、投資家が注意すべき「安値の罠」

 ポストコロナ時代、ベトナムに戻る投資家が注意すべき点について、日本、韓国、ヨーロッパをはじめとするFDI投資家との取引経験が豊富なDELCO Construction and Investment Joint Stock Company(略称:DELCO)のレー・カイン・マイン社長に訊いた。

ポストコロナの趨勢

現在のベトナムでのFDIによる工場建設についてどうお考えですか?

 最近、ベトナムでのFDIおよびDDIプロジェクトの件数は大幅な増加傾向にあると思います。DELCOがコンサルティングしているプロジェクトの件数は以前に比べて約15〜20%増加しました。 プロジェクトの規模もはるかに大きくなっています。

今の投資家のニーズは、コロナ前に比べて何か違いがありますか?

 2019年以前と比べて、投資家のニーズが変わってきました。工場の建設費の最適化が主要トレンドになっています。今日のような変化の激しい時代において、企業が生き残り、競争力を高めるためには、コストの節約が不可欠であるためです。

では、入札価格が低い請負業者のほうが落札しやすいでしょうか?

 その通りです。多くの請負業者は、この投資家の心理を踏まえて、「安値の罠」を仕掛けました。新築や増築プロジェクト向けに提案された入札価格は低いように見えるかもしれませんが、建設中に多額の追加費用が発生したり、工場の耐久性に影響を及ぼす可能性があります。

 鉄鋼価格は2021年と比較して20-35%上昇し、セメント、レンガ、砂などの他の材料価格も10~20%上昇するなど、主要原材料の価格上昇にもかかわらず、多くの入札者が以前と同様またはそれよりも安い価格で入札できることに、私は疑問を抱いています。 

詳しく教えていただけますか?

 プロジェクトの入札価格を下げる方法はたくさんあります。

 まずは仕事量を減らします。請負業者は作業項目を一部しか実行しない、または施工方法の変更を提案します。ただし、この変更が、実際の生産状況や業界の特徴、地質、現行のインフラなどの要素を考慮せずにコスト削減のみを目的としている場合は、今後工場のパフォーマンスと生産効率が低下する可能性があります。

 次に、設備や材料の仕様、基準を落とします。ご存知のように、工業プロジェクトでは大量の材料が使用されるため、一部の材料の仕様を変更するだけで入札価格に大きな影響を与えるでしょう。ただし、仕様や数量の変更は、防火やEIAアセスメント(環境影響報告)などの最新基準を満たしていない可能性があります。これは、工場の安全性の欠如につながり、生産空間に影響を与えるだけでなく、検収時の合法性も保証されません。

 第三に、多くの請負業者が大ざっぱな計画を設計して提案し、工場稼働時に発生し得る問題のすべてを予測してはいません。たとえば、工場のMEPシステムを設計する際、DELCOは、工場の生産活動や作業者の安全への影響を最小限に抑えられるように、停電や設備の故障が発生した場合の緊急時対応計画を常に考慮します。このようなリスク予防の問題を無視した入札者と当社の価格を比べれば、どちらが安くなるかは歴然としています。

 最後に、詳細な建設計画がないために見積もりが不正確という請負業者も数多くいます。これにより建設中および建設後に追加費用が発生し、総コストが管理不能となります。 そして最も大きな損害を被るのが投資家なのです。

「安値の罠」を見抜く賢明な投資家に

では、工場の建設コストを節約し、工場の耐久性と生産効率に影響を与えない方法はありますか?

 工場の品質とパフォーマンスを確保し、適切な請負業者を見つけるために、投資家はこのステップにおいて非常に注意深くなる必要があります。請負業者の選定時に、次のことに留意してください。

 まず、実際の入札書を適切に評価すること。つまり、見積もりの材料の数量と仕様を詳細に確認する必要があります。請負業者の比較は、工場の外観、機能、耐久性に影響を与えることなく、各入札者のソリューションと材料が同等である場合にのみ客観性を保証します。

 次に、請負業者のプロジェクト実施プロセスを慎重に確かめること。投資家は、実際の請負業者の施工品質とプロジェクト実施プロセスを知るために、請負業者が行っているプロジェクトを直接視察する必要があります。優良な請負業者は厳格なプロセスを持ち、投資家とのコミットメントに従って品質と価格を管理、保証します。

 第三に、ベトナム政府の最新の基準と規定を理解すること。過去1〜2年間で、ベトナムの建設法、防火法、および工業建設に関する各規定は、設計、計画要件、材料基準も含めて多くの変更がありました。新しい基準や規則について積極的に学ぶことで、投資家による正しい入札書の提供や、請負業者のソリューションと材料に対する適切な評価、ベトナムの法律に従った工場検収の合法性の確保につながります。

 マイン社長、どうもありがとうございました。

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