ステンレス鋼材の加工・販売を手掛ける日系2社の合弁会社、Vステンレス・スチール(V-Stainless Steel Co.,Ltd.)が、南部ドンナイ省ヌンチャク3工業団地の工場を増設し、4月から本稼働を開始した。ベトナムでは新型コロナウイルスの規制が大幅に緩和され、生産活動も回復基調にある。そうした中、インフラ開発やエネルギー関連など、幅広い分野でステンレス鋼材の需要が拡大している。Vステンレス・スチールはこうした需要増に対応するため、生産体制の強化を図る。
Vステンレス・スチールは、ステンレス鋼管の加工・販売を手掛ける日鋼ステンレスと、ステンレス鋼材の加工・販売を行う豫洲短板産業との合弁会社で、2013年11月に設立された。以来、ベトナムにおいてステンレス及び特殊鋼の切断加工・販売事業を展開。現地日系企業や地場企業に、各種プラント機器や医療機器、厨房、半導体関連などの部品に使用される各種ステンレス鋼材を販売し、順調に実績を伸ばしてきた。
豫洲短板産業からの出向で現地法人社長を務める品田義文氏は、コロナ禍に見舞われる直前の2020年1月に着任。対面での営業が難しくなる一方で、企業系列や取引実績にとらわれない柔軟な市場環境に可能性を見い出し、ロックダウン中もSNS等を駆使して新規顧客開拓に注力してきた。それが功を奏し、コロナ前の実績から落ち込むことなく販路の拡大を実現した。
「コロナ禍でのロックダウン中もお客様は工場稼働をされており、そのお客様へ材料を確実に供給できたことで、さらに信頼関係が強まったと考えています。3つの現場(現場での生産、現場での食事、現場での休憩・宿泊)に対応してくれた弊社スタッフには感謝しかありません」(品田氏)
こうして社員一丸となって前進した結果、製品の取扱量はいつしか年間2000トンを超えるまでになり、今回の工場増設につながった。
「お客様の多種多様な要求に短納期で応えるため、3200㎡の工場を4500㎡に増設し、新たな設備を導入しました」(品田氏)
今回の増設では、ベトナムで今後増えると予想される、各種プラント工事やインフラ整備等の需要に対応するため、厚さ100mmの鋼板が切断可能なKOIKE製のプラズマ切断機を新たに導入した。このマシン導入により、同社で切断可能な板厚はこれまでの5‐35mmから5‐100mmへと広がった。また5月には丸棒、条鋼を切断するバンドソー1台も追加し、切断能力の増強と効率化(短納期対応)を目指す。
Vステンレス・スチールでは、ステンレス、鋼板、鋼管、丸棒、型鋼、継手、その他特殊鋼など約1900トンの在庫を常備しており、切断加工による少量販売などにも対応する。品質は「日本クオリティ」を前提とし、メーカー選定や品質チェックを経た在庫発注・管理をしている。また今回の工場増設に伴い、2相鋼が在庫ラインナップに加わった。2相鋼は従来の304、316ステンレスに比べ高強度かつ高耐食であり、ニッケル含有量が抑えられているため価格の安定性も高く、ベトナムにおいて今後、多様な分野でのニーズが期待される。
Vステンレス・スチールは、「必要なものを、必要なだけ、必要な時にお届けする」を理念に、在庫管理から切断加工、納期管理、配送まで徹底した工程管理体制を確立している。在庫管理面では、形状・鋼種・規格・入荷時期などで商品を細かく分類し、固有の商品番号を振り当てて商品の管理・追跡を容易にしている。
現場作業においては、バーコードを用いてタブレット上で工程管理を実施。バーコード管理は手入力による間違いをなくし、各工程にチェック機能を設けることで顧客への誤出荷を防止する。また、現場作業にバーコードを用いることで工程・在庫状況がタイムリーに社内システムへ反映され、漏れなく安定した納期管理を実現させている。
今後の展望は、中部地区への拠点を設け販売網をベトナム全土に拡大させること。
「このタイミングで工場を増設したのは、いま設備投資をすることで、コロナ収束後のお客様の生産活動のお役に立てればと考えたからです」(品田氏)
アフターコロナを見据え、Vステンレス・スチールは目標達成に向けて着実に歩みを進めている。
ドンナイ省フンチャク3工業団地内の本社工場
お問い合わせ先:
V-Stainless Steel Co.,Ltd.
Road No.4, Nhon Trach 3 Industrial Park, Phase 2, Long Tho Ward, Nhon Trach Commune,Dong Nai Province, Vietnam
Tel:+84(2513)566-966
Fax:+84(2513)566-366
Email:y-shinada@yoshu.co.jp
Website:http://v-stainless-steel.com/ja/