専門家コラム 2022年10月13日09:14

労働契約の一方的解約に関する規定

 投資、労務、法務、税務、会計のコンサルティング分野において11年間以上の経験を持つVBP Groupが労働契約の一方的解約に関する規定について解説する。

労働契約の一方的解約に関する規定

I. 労働契約の一方的解約に関する労働者の権利

 2019年の労働法では、解約の理由、労働契約の種類にかかわらず、事前通知期間に関する条件を満たしている場合、労働者は理由なく、労働契約を一方的に解約することができるものとしている。詳細は以下の通りである。

  • 無期労働契約の場合、少なくとも45日。
  • 12ヶ月以上36ヶ月以内の有期限労働契約の場合、少なくとも30日。
  • 12ヶ月未満の有期限労働契約の場合、少なくとも3営業日。

 特殊な業種、分野、業務については、事前通知期間は政府の規定に従って実施される。

 更に、2019年の労働法第35条2項に規定されている以下の場合には、労働者は事前通知の必要がなく、労働契約を一方的に解約する権利がある。

II. 労働契約の一方的解約に関する使用者の権利

 法律の定めるところにより、以下の場合に該当した時、使用者は一方的に労働契約を解約する権利がある。

  • 労働者が、労働契約を遵守し、使用者規則における業務完成水準評価基準に従って確定される業務を常時完成させない場合
  • 労働者が、病気または事故に遭い治療を受けたものの労働能力が回復ない場合。その期間は、無期労働契約では連続して12ヶ月(12ヶ月以上36ヶ月以内の労働契約では連続して6ヶ月、12ヶ月未満労働契約では、労働契約期間の2分の1超とす
  • 自然災害、火災、危険な疫病、権限を有する国家機関の要求に従った損害または移住、生産・経営規模の縮小が発生し、使用者が克服方法を模索も労働場所の縮小を強いられる場合労働契約の一時的履行停止期間が満期となったが、労働者が職場に来ない場合
  • 労働者が定年退職年齢となった場合(各当事者が他の合意をする場合を除く)
  • 労働者が、自らの意志で、正当な理由がなく、5営業日以上連続で勤務をしない場合
  • 労働者が、情報を誠実に提供せず、労働者の採用に影響を与える場合

 労働契約を一方的に解約する際、使用者も労働者と同様の義務を果たし、使用者も上記のI項に挙げられた事前通知時間に関する規定を遵守しなければならないものとする。ただし、労働者が「労働契約の一時的履行停止期間が満期となったが、職場に来ない場合または自らの意志で、正当な理由がなく、自らの意志のより5営業日以上連続で勤務をしない場合」には、使用者は事前通知の必要がない。これは、労働者が労働契約の合意による労働時間にわざと従わない場合、生産・経営活動の連続性を維持することを目的とし、使用者の権利を保護する規定である。

 労働者が2019年の労働法第37条の場合に該当したとき、使用者は労働契約の一方的解約の権利を実施できない

III. 労働契約の一方的解約の後、使用者に対する留意点

  • 法令の規定により、労働契約を一方的に解約する前に、労働者へ事前に書面により通知すること。
  • 労働契約の解約から14営業日以内に、未消化年次有給休暇の日数に相当する金額を含み、労働契約を一方的に解約する時点まで支払うべき金額を労働者に全額支払うこと。
  • 社会保険、失業保険の加入期間の更新確認手続きを支援し、労働者に保険手帳の原本を返却すること。

記者情報:レー・ホン・ハイ氏

日本の神戸大学経済学部と経済学研究科で学部と修士課程卒業。日本で10年間以上住み勉強し仕事をした。15年間日本との仕事の経験を有している。現在、VBP Company Limitedの副社長。

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