専門家コラム 2022年10月11日11:03

工場のランニングコストを最適化する ポストコロナ時代の絶対条件

 大手グループ会社から中小企業に至るまで、世界の全ての企業は、ポストコロナ時代での生き残りを賭けてコスト削減と最適化に努めている。人件費や原材料費と並び、工場のランニングコストが製品の価格構造に占める割合も大きい。本号では、スマートファクトリーシステム及びスマートファクトリーインフラストラクチャの設計と実装において豊富な経験を持つ総合建設会社、DELCO Construction and Investment Joint Stock Company(以下、Delco)のレー・カイン・マイン社長に、工場のランニングコストを最適化するための設計・施工・スマートソリューションについて訊いた。

工場のランニングコストを最適化する ポストコロナ時代の絶対条件

スマートファクトリーシステムによって削減できるコストの種類

 マイン社長によると、工場の生産性や効率に影響を与えることなく、様々なコストを大幅に削減することができる。

 エネルギーコスト

  高止まりしたままの電気料金と他のエネルギー関連のコストを合わせたエネルギーコストは、企業のコスト構造の大部分を占める。エネルギーコストの節約は、工場の最優先すべき目標の一つだ。

 DELCOは、投資家や工場管理者が工場の電力消費状況をリモートで監視するためのスマートファクトリーシステムを開発している。また、空調システム、換気ファン、照明システムなど、多くの電力を消費する機器には、環境条件に応じて自動的にオン・オフを行うセンサーが搭載されており、室温が十分に下がると空調システムが自動的にオフになったり、部屋に誰もいないときは照明システムが自動的にオフになったりする。

 さらに、DELCOのMEPエンジニアは開発者と協力して、循環式排水処理システムを設計した。このシステムにより、工場の生活排水は国家技術基準(QCVN)Bランクに準拠した水にリサイクルされ、その水を植物へのスプリンクラーや道路の洗浄に使用することで、工場の水および環境コストを節約することができる。

 メンテナンスコスト

 設備のメンテナンス業務は費用がかかるだけでなく、工場の生産状況にも大きく影響する。完成品倉庫のエアコン、ダストフィルターシステム、エアコンプレッサーなど、重要な設備の突然の故障は大きな損害につながる可能性がある。

 スマートファクトリーシステムは、ロジック、アルゴリズム、PLCプログラミングと組み合わせた環境センサーシステムを使用して、設備のメンテナンス計画を自動的に算出し、電子メールやタッチスクリーンなどを介して工場マネージャーにメンテナンスアラートを届ける。これにより、工場の技術チームは、設備の点検やメンテナンスを主体的に計画することができ、生産スケジュールへの影響が抑えられる。

工場管理コスト

 DELCOが開発したスマートファクトリーシステムは、AIカメラシステムによる労働時間管理およびセキュリティ管理、時間節約と人的エラー軽減につながる重要な設備の自動操作といったシステムを通じて、投資家の管理コストおよび時間の節約をサポートする。

スマートファクトリーシステムを導入するには

 マイン社長によると、スマートファクトリーシステムを導入するには、豊富な経験と長期的なビジョンを持つことが求められる。それにより、工場の生産実情に合わせた計画の立案、適切なテクノロジーの活用、最大限のコスト削減が可能となる。

コストに直接影響する一貫性

 実際にスマートファクトリーシステムを導入するには、設備の設置に最も適切な形で対応しつつ、同システムの可用性を確保するための適切なMEPシステムとインフラが必要とされる。建設インフラや工場の建造物が最初からスマートシステムの展開に適していない場合は、かなり高いコストで改修しなければならない。したがって、投資家は、新工場の設計・施工や工場の改修の際、拡張やテクノロジーの導入計画を予め見積もっておくべきである。

 「実はベトナムでは、まだそこまでのトータルの提案ができる企業はあまり育っていないのです」とマイン社長。「設計、施工、配電などの各段階で個別の専門企業が利益を上乗せするため、どうしても価格が高くなるか、品質を下げることになってしまう」とも解説した。

 スマートファクトリーのトレンドが現れ始めて以来、マイン社長とDELCOの仲間は常にこの問題について考えてきた。投資家に対して工場のランニングコストを最適化し、顧客に対して長期的かつ持続可能な利益をもたらすために、マイン氏とDELCOのエンジニアチームは、工業生産に適したスマートシステムに関する最新技術の習得に多大な努力を払ってきた。

スマートファクトリーシステムの効果を決める企業のビジョンと経験

 現在、スマートファクトリーシステムを導入している企業はたくさんあるが、マイン氏によると、重要なことは工業生産業界での実務経験である。生産産業ごとの設備の使用習慣と特性、従業員の個性、各工場の生産実情を理解することは、技術提案書の設計とシステムの効果に大きく影響する。

 ステップが多すぎるUX(ユーザーエクスペリエンス)や複雑なUI(ユーザーインターフェイス)で設計されたシステムは、実際には効率が落ちる。同様に、工業生産の現実を知らないと、工場に適したテクノロジーを選択できない、あるいは投資/ランニングコストの高い技術を提案してしまうことになる。

 そのため、スマートファクトリーシステムの設計と実装の過程で、DELCOは工場の生産実情と投資家のニーズに合ったテクノロジーの選択を最も重要視している。DELCOのスマートファクトリーの設計と実装に関するコンサルティングについて、在ベトナム外資系企業の顧客からは、多数の肯定的なフィードバックが寄せられている。

レー・カイン・マイン社長について:

建築系の大学を卒業。ベトナムおよびシンガポールの建設会社で長年勤務後、独立・起業。

DELCO Construction and Investment Joint Stock Companyは2007年にマイン氏によって設立され、現在までにベトナムのトップレベルの設計・施工総合建設会社に成長。同社は、最新技術を活用したFDI工場の総合建設を請け負い、その豊富な経験を生かして、建設からMEPシステム、スマートシステムまで、インダストリー4.0時代の生産に最適な包括的スマートファクトリーソリューションの提供に成功した。

2007年以降、DELCOは様々な分野でスマートシステムの設計・導入を行っている。農業(DELCO Agriのプロジェクト)、裾野産業(ビンズオン省のGS工場)、電子部品(Power Plus Technology) 工場)等での実績あり。

DELCO Construction and Investment Joint Stock Company

Floor 10th, Viwaseen Tower – No. 48, To Huu Str., Nam Tu Liem Dist., Hanoi, Vietnam

Email: info@delco.com.vn Tel: +84936781080 Website: https://delco-construction.com/

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