2023年1~4月期、ベトナムで自動車消費が落ち込んだとともに、自動車企業は過剰在庫や資金繰り悪化等の課題に直面している。

自動車消費が低迷
ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、2023年4月の自動車市場全体の販売台数は2万2409台にとどまり、前月比25%減、2022年3月期比47%減となった。うち、乗用車、商用車、特殊用途車の販売台数は前月比それぞれ27%、19%、51%低下した。国内完成車と輸入完成車の販売台数はそれぞれ1万3325台(前月比-18%)、9084台(前月比-34%)だった。
2023年1~4月期の自動車市場全体の販売台数は前年同期比3割減、うち国内完成車と輸入完成車がそれぞれ39%、16%下降した。セグメント別では、乗用車、商用車、特殊用途車の販売台数はそれぞれ35%、9%、58%減少した。
過剰在庫
自動車需要の減少以外に、銀行融資困難や金利上昇、為替相場の変動、インフレ等は過剰在庫につながる要因として指摘されている。
また、販売台数が40万台超という2022年の好調な実績を踏まえ、企業が過度に楽観的な観測をしたということもその原因になり得る。例えば、2023年第1四半期の完成車の輸入台数は前年同期比76.9%増の4万2002台に達した。4月、5月の輸入台数はそれぞれ1万2323台、1万台まで低下した。消費の低迷状況を踏まえ、輸入を抑制する動きが広がったものの、需要減少に追いつかないことが明らかになる。
政府による支援
VAMAと自動車製造工場のある地域は自動車企業への支援対策として、国内完成車に対する特別消費税の納入期限延長および登録料免除を提案した。本提案に対し、財務省は、多くの地方自治体の予算のバランスや国際約束の履行への悪影響を懸念するため、登録料免除より予算バランスへの影響が比較的少ない特別消費税の納入期限延長の方を支持している。なお、世界貿易機関(WTO)やFTAパートナー諸国の反応を考慮する上で、国内完成車への優遇措置は短期的な対策とすべきだと指摘した。
政府の支援に依存するよりも、長期的に見れば、製品の厳選や生産コスト削減、品質向上等により顧客のニーズを満たすほうが効果的な対策だ。