ベトナム最大手IT企業のFPTソフトウェアは半導体チップ7000万個近くの受注を獲得し、2025年までに製造・納品。人工知能(AI)や人材育成にも注力中。

FPTソフトウェア(以下、FPT)はベトナム株式市場の最大時価総額を誇っているIT企業で、資本金が約52億ドルに達する。AI、クラウドコンピューティング及びビッグデータに関するサービスを29か国の顧客企業に提供する他、教育およびチップ設計分野にも事業拡大を進めている。
ロイター通信によると、同社はAIトレーニング機能の強化のために、米Landing AI社と協力協定を締結した。また、AIのクラウドストレージやヘルスケア等への応用に関し、AI・半導体業界大手NVIDIAやベトナム大企業と協議に入った。「AI分野で強力な地位を構築すれば、デジタル分野での発展をさらに加速できるだろう。」と、FPT会長のチュオン・ザー・ビン氏は述べた。
同氏は今後のビジネス機会について、次のように述べた。
「中国を除く外国企業に優遇措置を与えるという、昨年アメリカで可決されたCHIPS法は半導体分野のゲームチェンジャーになる。多くの機会を作り出してくれるため、今後の事業拡大に非常に有益だ。(バイデン大統領のベトナム国賓訪問を機に開催された首脳会議で)米側はベトナムのチップセクターを後押しすることにもコミットした。」
これに先立ち、同社がチップ2500万個の受注を発表したが、同氏によれば、台湾・韓国・日本の顧客による医療機器分野およびエレクトロニクス用チップの注文を加えれば、2025年までの注文は合計6700万個に達した。
製品の製造・加工をベトナムで行うという市場慣行に対し、FPTは現在、韓国または台湾でチップの設計・製造をしている。なお、国内にチップ製造工場建設への関心が高まっているため、今後5年以内に生産活動をベトナムに移管する可能性があるという。
現時点で、米国上場は同社の拡大計画に含まれていないとも述べた。FPTの米国での年間売上高は2.5〜3億ドルで、2030年までに10億ドルに引き上げることを目指している。顧客のニーズがもちろん考慮に入れるべきだが、企業規模拡張は上場計画の前提となるそうだ。
一方で、同社の教育部門への投資拡大を計画中。専門家によれば、ベトナムにおけるチップ業界労働者を今後10年間で10倍の5万人に増やす必要がある。FPTはこの人材ギャップを埋めることに努めており、米国からの支援を期待している。
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